この記事は天皇制について云々(うんぬん)するものではありません。
世間を騒がせている女性天皇についての意見を述べるわけではありません。
ただ、「男系男子」という言葉の意味を判らないままで議論している人がいるような気が
して、(少なくとも私は、生まれて初めて聞きました。「男系男子」)
ちゃんと知った上で、考えようと思ったから、書きました。
@女帝とは、男子天皇の子である女子の皇族が天皇になることで
過去すべて、これにあたります。
この後は、男系の天皇(男帝)に戻っています。宮内庁は「つなぎ」といいます。
なんだかむなしい言葉です。「つなぎ」
つまり過去の女性天皇は「特別な事情によるやむを得えない臨時的措置」であって、
女性天皇の系統がその後皇位についた例はなのです。
このことから、「女性天皇を認めないのが日本歴史上の伝統である」との見解が
生まれたのです。
A女系とは女帝が産んだ子が天皇になり、その系統が皇位を承継することで、
前例がありません。
例外的に44代元正天皇は、奈良時代の女帝で、
母が43代元明天皇であったから、女系といえない こともないようです。
でも父が、天武天皇と天智天皇の皇女(後の持統天皇)との間の男子(皇太子)
である若死にした草壁皇子(くさなぎのみこ)であったところから
女系には入らないとされています。
B最初の女性天皇(女帝)の推古天皇や持続天皇など、
8人中6人は飛鳥・奈良時代にかけて出現しています。
あとは江戸時代に2人の女性天皇が生まれました。
C女性天皇出現の事由は大きく3つに区分できます。
第1は外戚(がいせき=母方の親戚〔(しんせき)。げしゃくとも。
なお、父方の親戚を内戚〔ないせき〕という。内孫・外孫とおんなじですね。)
の権勢による場合。
例えば、夫の敏達天皇死後の皇位継承争いの中で、蘇我馬子の意向を受けて
即位した推古天皇や
藤原氏の権勢確立のために歴史上初の女性皇太子となり即位した孝謙天皇
(重祚して称徳天皇)などがこの例です。
第2には皇太子が幼少のため、中継ぎ的に継承した場合。
皇極天皇や元明天皇はこの例です。
江戸時代の2人の女性天皇(明正天皇と後桜町天皇)も中継ぎ的な女性天皇でした。
第3には自分の意思で即位した場合。持続天皇の例 があります。
D女帝8人とも、夫を亡くした寡婦か生涯独身であり、
本人が亡くなったあとは男系の天皇に戻っています。
E44代元正天皇から117代後桜町天皇までの4人は、配偶者がいません。
女系の子が生まれることを恐れて結婚させなかったといわれています。
F37代斉明天皇が、35代皇極天皇の重祚(ちょうそ・じゅうそ=一度退位した
天皇が再び皇位につくこと。祚とは位のこと)。
G48代称徳天皇が、46代孝謙天皇の重祚。なお、重祚はこの2度だけです。
H33代推古天皇から43代元明天皇までの4人は、皇后か皇后に準ずる人で、
夫の天皇の死後、即位しました。
I46代孝謙天皇は、奈良時代に奈良の大仏を作った第45代聖武(しょうむ)天皇と光明(こうみょう)皇后と の間に生まれた第2皇女。女性ではじめて皇太子になりました。
ただこれには、たった1人の皇太子であった弟の基(もとい)王が早死にしたので、
聖武天皇と別の妃の間に生まれた子に皇位を奪われないよう大急ぎで
皇太子に立てられたという背景がありました。
J1630(寛永7)年に即位した109代明正天皇 は、第108代後水尾天皇
(ごみずのおてんのう)の皇女で、母は徳川2代将軍徳川秀忠と正室お江与の間に
生まれた娘の和子であったため、葵の帝(みかど)といわれました。
K117代後桜町天皇は、1763(宝暦13)年に 即位した最後の 女帝で
115代桜町天皇の第2皇女。
L以上の事情から、日本では「男系男子」による皇位の継承は古代からの大原則で、
皇位が世襲で男系の男子が継承するという概念は遅くとも8世紀頃の段階で
朝廷の通念として定着したと考えられています。
これが明治憲法制定と同時に同時に公布された旧皇室典範で成文化されたのです。
M戦後、憲法が改正され第14条で「法の下の平等」の原則が確立されましたが、
当時の帝国議会の議論では、新憲法の理想とする男女平等の原則と
皇室典範での男系皇位継承の原則が相容れなく、皇室典範によって
憲法の原則が破られるとの批判が起き、女性天皇を認めようという意見もありました。
しかし政府はこれを拒否。
当時皇族男子には現明仁天皇のほか、常陸宮、三笠宮寛仁親王の3人がいました。
N女性天皇問題は、日本の伝統に基づく男系男子主義のほか、
皇配(こうはい)殿下(女性天皇の夫)の問題があります。
日本にはヨーロッパ諸国のような皇配についての習慣や国民的合意がなく
(イギリスやオランダでは〔女王の夫君〕についての伝統が確立されています)、
皇配に関しても、皇配をどの範囲から選ぶのか、皇配を皇族とするのか、
女性天皇と皇配との間に生まれた子供に皇位の継承(女系)を認めるのか等、
種々の課題があります。
愛子様が天皇になることが問題ではなく、もし愛子様が天皇になられたとしたら、
その後が問題なんだってわかりました。
私が今とても、気になるのは、女性天皇問題の有識者会議のメンバーのなかに
皇室関係者が一人で、皇族の方がいないという点です。
自分達に直接関係していることなんだから、本当は自分達でお決めに
なりたいでしょうし、 少なくとも意見は言いたいですよね。
*参考
吉川 弘之 産業技術総合研究所理事長、元東京大学総長
岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授
奥田 碩 日本経済団体連合会会長
久保 正彰 東京大学名誉教授
佐々木 毅 前東京大学総長
笹山 晴生 東京大学名誉教授
佐藤 幸治 近畿大学法科大学院長、京都大学名誉教授
園部 逸夫 元最高裁判所判事
古川 貞二郎 前内閣官房副長官
政府側 内閣官房長官 、内閣官房副長官、内閣官房副長官補、宮内庁次長、
内閣総務官、 内閣審議官、内閣審議官、内閣審議官
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ありがとうございました。
こちらからも送らせていただきます。
この問題は詳しく書いている人が多いですね。
私としては活発な意見交換を望みます。
こちらの記事を読んで、歴史上の女帝について改めて勉強し直す事が出来ました。
この問題について詳しいサイトはたくさんありますが、私はわかりやすく、思想的に偏らないように注意して書きました。
参考にしていただけてうれしいです。
このブログの他のエントリーも覗かせて頂きましたが、含蓄の深い記事が多いですね。
思わず唸らされました。
また訪問させていただくと思います。
本日は本当にありがとうございました。
大変に丁寧で分かりやすく、しかもやわらかい物腰の記事で、国民の多くの方々に問題意識を広げてくれることができそうな気がしました。これからもこの問題については是非色々とご発信ください。そして、皆で考えてまいりましょう。
ありがとうございます。
この問題は難しく、でも知らないうちになんとなく流される、小泉流に巻き込まれてはいけないと思って、わかりやすいように書いたつもりですので、褒めていただいて、うれしいです。
また来て下さいね。
>猫研究員 さんへ
宗教観とも関係ある問題なので、意見を言うのが難しいですが
>>、国民の多くの方々に問題意識を広げてくれることができそうな気がしました。これからもこの問題については是非色々とご発信ください。そして、皆で考えてまいりましょう。
わたしもそう思いますので、また、考えてもっと
いい記事が書けるように頑張ります。
男系天皇というのはこの件が話題になって私も始めて知りました。
大変興味深い話ではあります。
その伝統を壊すのが許せない人がいるようですが、その理由がよくわかりません。
Y染色体にこだわるのはなぜかという話題には興味はありますが。
あと、女性天皇問題の有識者会議に皇室関係者がいないのはしょうがないと思います。
天皇は自分の身を自分で処せないところに象徴的な存在感があるようにも感じます。
以上、戯言でした。
あと、天皇が参加できなくても、皇室関係者はたくさんいらっしゃると思うので、意見をいってもいいと思いますが。
象徴でも人間ですから。
伝統を守りたい人のなかには、象徴でなく神と思ってる人もいるので、天皇が参加するのは無理でしょうが。
伝統を別の見方をすると、明治以前、日本にはまげと日本髪の地球上唯一の文化がありました。が、一旦やめてしまうともう二度と戻りません。
もう二度と戻らない(将来的に皇室消滅も含む)、という決定事項が迫っている。
将来の日本に対する責任として、そこがわたしは恐ろしい。
>>将来の日本に対する責任
そうですね。将来を作っているのは私達ですね。
>愛子様が天皇になることが問題ではなく、もし愛子様が天皇になられたとしたら、その後が問題なんだってわかりました。
問題っていうより、彼は女系は認めたくないってことを意見してるんですよ。愛子さんが即位するのはいいとしても?愛子さんが誰かと結婚してもその人との間に生まれた子供には男だろうと女だろうと天皇にはさせず、養子をとらせる?
あきれてさらにあいた口がふさがらない思いがいたしますが?
>私が今とても、気になるのは、女性天皇問題の有識者会議のメンバーのなかに皇室関係者が一人で、皇族の方がいないという点です。
政治問題で口出しできないのですが、会報は(自分が会長を務める福祉団体の会報)市販されておらず、身内の小冊子だからといういい訳のもと述べたようですよ?
>自分達に直接関係していることなんだから、本当は自分達でお決めになりたいでしょうし、 少なくとも意見は言いたいですよね。
「皇族の方々ご自身で」決めることではないと思いますが?国民が決めることだと思いますよ。
「意見」ならすでに述べてると思います。政治問題で口出しできないのですが、会報は(自分が会長を務める福祉団体の会報)市販されておらず、身内の小冊子だからといういい訳のもと述べてますよね?新聞の1面に掲載されてました。
それは一人の意見で、皇族を代表しているとは思わなかったんですけど。
国民が決めることでも、意見は言ってもいいんじゃないかなと思いますけど。
案外、皇族の中で意見が分かれていて、言えないような気もしますが。
女系天皇に対する思いをTBさせていただきます。
私の調べは、伝統だけを重視しているのではないということです。
易姓革命がおきて、安泰できる国はあったかな?
という思いです。
この問題に関してはどっちの方がいいとか悪いとかではなく、正しい知識を広げたい思いで記事を書いております。
私としては、鉄人ママさまのように、皆さんが
とてもわかりやすいように、記事を載せてくだ
さって、とても嬉しく思います。
私も、私なりに日本の将来のことが、今、ここに
のしかかっているように感じてTBさせていただき
ました。
専門の方のように、1つ1つ詳しく長くは載せら
れませんが。
失礼いたしました。
日本人とか、愛国心とか、日の丸とか
もっとフランクに話せるような世の中になればいいなと願っています。
もう少しこの問題を身近なものとして良く考えてほしいなぁとおもいますね。
「いーじゃん、どーでも」って方々に。
ちなみに、、、
皇統の男系男子の現代の科学的根拠はこちら↓
http://blog.mag2.com/m/log/0000000699/106528582?page=1#106528582
ちなみに教科書に載ってない歴史はこちら↓
http://www2s.biglobe.ne.jp/〜nippon/jog/jog_index_frame.htm
なんかが参考になるかと。
けっこう間違った歴史を覚えてきたんだなぁ。。。としみじみする今日この頃。
最初は単純に 愛子様が天皇でもいいじゃんと思っておりましたが、女系だの男系だのと言う存在を知り
そんな違いがあるんだと 知った一人です。
良いことなのか どうなのかはまだはっきりとは言えないのですが
ただそんなに1首相の私的な会議での決定事項がこうも簡単に新聞に大々的に取り上げられ
しかも女性天皇には70%の人が賛成しているなどの記載が新聞でされているのですが
この辺がどうもきな臭い(笑)
鉄人ママさんがお書きになっておられる 愛子様が天皇になられたそのあと
今までの長すぎるほどの歴史をそうも簡単にやすやすと代えていいのか?
本当にいいのか?第二次世界大戦の後と前では、
天皇と言う存在も良くわからないままの私のような人間が40を過ぎています。
もっと多くの人が知り 考えてみてもいいんじゃないかな?
そんな風に思います。
全体のひずみも考えた上での結果ならいいんですけど。
私も女系とか反対でもないし、賛成でもないけど、一方的に話がひとつの方向に流れるのは素直に受け取れなくなります。
まぁ、天皇の問題をこうも高々と議論できる世の中、これぞ言論の自由を謳歌できる国民と言う感じでしょうかね。
喧々諤々、あちらこちらで論議されていますが、男系一本で来た(と言う事に歴史上なっている)という所「だけ」に天皇の天皇たる所以がある訳で、それは国内に留まらず「世界的な認識」なのであります。
ぶっちゃけて言えば、我々の生きている間に「女系」に変わってしまい、様々な問題(皇位継承、愛子様・かこ様・まこ様に婿が来るか?など)の中で「天皇制は存続不能」となる可能性も少なからずあり、果たして未来の子々孫々に胸をはれるかって僕なんかは思う次第で。
下手すれば2600年以上の伝統に終止符を打ったのは我々の世代、と言う事になり兼ねない恐ろしさがあります。頼朝も尊氏も信長も秀吉も家康も滅せられなかった天皇を。
力でかえられなかったものが、かわっていくのを見ているといろいろ考えさせられます。